2023 年 7 月の日記

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進捗について

例によって、この日記には抽象的にしか書けないことを、先に申し上げておく。

2023 年度に私が目標としていたことは、 7 月上旬に達成した。これは 11 月末までに完了する見積もりであった。このあとは、達成に至るまでにやり残したことをやっていく。

この成果により、次の 2 つのことが従う。

  1. 私の研究の方針の裏付けが 1 つ得られた。今年のはじめに書いた通り、現在の私には「こういうふうに研究をする」という仮説、方針がある。今年のはじめに書いた通り、それについては、年末に書く。
  2. 私自身が私のやるべきことを決め、私の時間の使い方を決めることが、合理的であるという根拠が得られた。目標としていた成果があがり、しかもそのために必要な期間が縮まった。

自分のやることを誰からも誘導されずに自分で決め、その遂行に必要な道筋を自分で立て、それを自分の計画で実行する。結局はそれが、一番成果にもつながるだろう。このことが、例示された。

これは、私の人生で、現職までは 1 度も実現しなかったし、現職においても 2022 年末までは、 pure に実現していたとは言い難かった。この度、ついに実現した。

今回の結果を受けて、私自身、わかったこともあるし、こうすればよかったという点も得られた。自分で 100% 決めているので、経験も改善策も、これまで以上に鋭く得られている。これも良い点だと思う。

ただし、これを実行できたのは、私の計画や得られるであろう成果を補完する形で、周りの方が動いてくださったからである。あえて別の見方をするならば、私が自分の好きなようにやるために、周りの方は私に合わせてくださった。そういう側面が大きい。感謝していることを、ここに書き留める。今後のあり方も考えていく。

勉強会の話

私は、社内で開催される勉強会で、話している。研究開発や事業に全く関係ないことも含まれる。怒られないであろう範囲で、それらに属する過去のテーマ例を挙げると、

  • 『新型コロナウイルスの感染モデル入門』
  • 『競技プログラミングと環論』

というお硬いものもあるし、

  • 『ぼっち・ざ・ろっく! の紹介』
  • 『エンジニアのための ゼルダ のゲームデザイン』

というのもやった。全部、評判がよかった。

ぼざろの話

『ぼざろ』は、長谷川育美さん案件だったので(喜多ちゃん役)、 1 話放送の段階から、社内で私の周りに「見ろ」と言ってきていた。長谷川さんは『月姫』のアルクちゃん役に抜擢されたので、長いお付き合いになると確信している。そういうわけで、長谷川さんの出演作は、見るようにしている。

念のために言うと、私はいろいろな声優さんがまんべんなく好きなので、これをもって大ファンだとか言わないでほしい。 15 年くらい、同じような勘違いを周りにされている過去があるので、注釈。

ゼルダの話

最後の『ゼルダ』の勉強会は、私が『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』をやって非常に感銘を受けたことが、開催理由の 1 つであった。もう 1 つ重大な理由があったが、それは略。ともかく、ファン活動の一貫といえる。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』における、物理・化学現象を中心に、制作者インタビューやプレイヤーの研究結果からわかっているゲームデザインの仕様について、エンジニアの方々に役に立ちそうな部分を話した。結構気合を入れて準備した。その時間を使って研究開発しろと言いたくもなるかもしれない。その結果、たくさんのエンジニアさんが参加してくださり、評判は非常に良かった。

開催した結果、私にも学びがあった。

「ゼルダ BotW/TotK においては、 1 つの課題をどのように解決しても、それがそのユーザーにとっての正解である」という話をしていたときのことであった。話を進めていくと、本職のエンジニアの皆様の間で、一斉に血の気が引いたような空気になった。これは予想していなかった。

特に、次の動画を紹介したときには、「すごい倒し方だ」と感心するよりも、「世界の深淵の深さを見るよう」な感じになっていた。

つまりどういうことかというと、私の周りのエンジニアの方々は、これをみると、「デバッグが非常に大変だ」とすぐに直感し、テストやデバッグの作業量を想像し、思わず引いてしまうようであった。

たくさんの正解があるなら、それで本当に倒せることを保証せねばならない。逆に、倒せるべきでない方法で倒せてはいけない。例えば上述のグリオークだと、グリオークが湖に落とされることを想定しておかねばならず、湖に落としてダメージが入らねばならないが、湖に落としただけでは倒せてはいけない。このように、ゼルダ BotW/TotK の場合、ユーザーがやれることは数えきれないほどあるわけで、そのデバッグは猛烈なことになる。私の言葉で話すならば、こういうことである。

なるほどな、と私は思った。そういえば、これは私も昔聞いたことがある話であった。『FINAL FANTASY XIV』の吉田さんと『モンスターハンター』シリーズの辻本さんの話で、そういうことがあった。以下の動画にその部分が切り抜かれている。

こういう話を私は、少なくとも 2018 年には聞いたことがあったことになる。しかし、私がこのことを血肉として実感できていなかった。その理由は、本職のエンジニアではないからである。もちろん本職のゲーム制作者でもない。だから、私はゼルダをやっていて、無邪気に感動できる。無知であることは、幸せである。そういうふうに改めて実感したのが、私にとっての学びであった。

以前も書いたが、職業としてやっていることが一番上達する。だから私は今までもこれからも、エンジニアになることはできないであろう。数学をやり、研究開発をし、生計を立てる。それしかできない、は言い過ぎかもしれないが、今後も、そうやっていくことになるであろう。

今の私は、ソフトウェアやインフラをはじめとするたくさんの種類のエンジニアさんに囲まれているし、ファイナンスや証券業が専門の方もいるし、法人・個人営業のプロの方もいるし、総務の方も管理職の方も強い。ともかく、様々な方がいる。自分と専門性や興味が違う方がいらっしゃるから、全体としてうまくいっている。