『龍が如く 8』の感想

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これから P3R が発売するので、早すぎることを承知で、感想を書く。ネタバレなしでいく。

現時点でゲームシステムの攻略情報があまり共有されていないことを鑑み、どのような方針で臨むとクリアしやすいか、この記事の後半では私見を述べる。

前提

私は『0』『極 1』『極 2』『3』『4』『5』『6』『7』『7 外伝』『維新! 極』を、少なくともストーリークリアまでやっている。『8』は、現在はストーリーを 1 回クリアしただけである。発売から 1 週間も経っていないので、これでも相当ハイペースである。その時点で掴んだことを述べる。

良い点

現代風に進化したコマンドバトル

コマンドバトルは、非常に改善されている。基本システムをずらすことなく、現代でも通用するものに進化させている。

前作『7』のコマンドバトルは、やり慣れている人には物足りなく感じるであろう内容であった。正直にいうと私は苦痛で、ストーリーを進めるために仕方なくやっていた。しかし、『8』では、大幅に改善されている。現代的になっている。手段を尽くせば通常攻撃もダメージソースになるし、位置取りでできることも増えた。最終的に、通常戦闘は、前作よりずっと高速に終わるようになる。育成システムも明快で、バランスは非常に良かった。

以下でも述べるが、育成に無駄な要素がない。本編以外もやることが、プレイヤーの最適戦略になる。

ストーリーは相変わらず良い

ストーリーも最後まで堪能できた。春日による問題解決と、桐生の終活のどちらの要素も、素晴らしい内容であった。

本編ストーリーには、大きく 3 つの軸があるように思われた。 1 つ目は、反社会的勢力の社会復帰である。 2 つ目は、現代における宗教である。 3 つ目は、ストーリートレーラー上伏せられている内容なので、ここでは書かない。どの論点も、妥当な落としどころであった。 1 つ目は、ともすれば排他的で同調的な日本の生きづらさと、犯した罪は決して許されることはないという両方が描かれていた。桐生の出した最後の回答も、適切なものであった。 2 つ目は、慈善事業団体としての側面を肯定しつつ、敵側の異常な側面もきちんと描けていた。 3 つ目も、ともすれば強いイデオロギー対立や風刺になりそうな部分を、うまく避けて、現実ベースで描けていた。

倫理コードがしっかりしている。しっかりしすぎているくらいではないだろうか。アウトローな世界を舞台としたゲームは、北米・欧州のゲームを含め、他にもある。その中でも『8』は最も倫理コードに敏感なように思えた。あえて現代ではよくない言い回しをした場合、後に必ず否定的な見方が入っている。私はゴミのような底辺社会で生まれ育ったのだが、その経験を踏まえると、ここまで丁寧に仕事が尽くされているのは、信じられないレベルだと思った。

ホノルルシティの広さや文化に根ざしたサブストーリーも豊富で、楽しめた。昨年私は、福岡の中洲に行った。そこで『5』の永洲と同様の景色を発見し、嬉しくなった。そういうわけで、ハワイにはいつか行ってみたいと思った。きっと同じような光景や施設を発見するであろう。

桐生の終活は心に残った。ボリュームはそこまで多くなかったものの、まるで生前葬をやっているようであった。『0』から『7 外伝』に至るまでの我々プレイヤーの膨大な努力を肯定してくれているようであった。これを読んだ方が未クリアであるならば、エンディングで桐生がどういう結末を迎えるか、最後まで見届けていただきたい。

その他

俳優さんの演技も皆上手であった。特に海老名役の長谷川さんの演技は、本職の男性声優に負けず劣らずな、素晴らしい内容であった。各俳優さんのファンでゲームを買った方は、完走していただきたい。

ロード時間もほぼなく、きれいな映像が途切れなく動く。操作性についても、全く不満がない。私はどちらも門外漢であるから、詳細は省略する。

気になった点

コマンドバトルの最先端は更に先にある

2024 年現在のコマンドバトルの最先端は、この作品の更にその先にあるように思えた。特に、オート戦闘がしっかりしていれば、なお良かったように思う。これは、ファンのためでもある。

新規の『龍が如く』シリーズのファンの中には、 3D アクションだと、画面酔いのため進めないという人もいる。この論点は、既によく共有されているように思う。しかし、さらにその中には、コマンドバトル RPG もうまく進められない方もいるということは、あまり共有されていないように思う。しかし、私が認識している範囲でも、実際にそういう人はいる。

YouTube のプレイ動画を見るだけでは物足りなく、ゲーム機とソフトを買ってきて、慣れていないビデオゲームをやってくださる。こういう方も、大切なお客さんのはずである。そういう方が、 YouTube 視聴に戻ってしまっては、悲しい。

コマンドバトルができない層も、オート戦闘を駆使してクリアできればよかったように思う。現状のコマンドバトル作品の中には、フルオートで高速に進行できるものも結構ある。通常戦闘は 10 - 20 秒程度で終わるものも珍しくはない。

女性キャラクターがうまく描けない傾向

この項目は、若干ネタバレになる。

『8』では、ある人物が、途中で大きな十字架を背負ってしまう。本編の最後も、「それでいいのかよ」と思ってしまった。「どうしてこのシリーズは、味方側の女性キャラをうまく描けないのか」と、再度思ってしまった。消せない十字架を背負わせてはいけない。なぜこれに敏感になれないかと。

『龍が如く』シリーズは、女性キャラクターが不遇であるという欠点がある。出番が少ないわけではない。上に書いてあるとおり倫理コードがしっかりしているため、差別や蔑視があるわけでもない。それでも、本編上、女性キャラクターが途中で厳しい立場に置かれ、そのままになって、適当に終わってしまう事がある。シリーズで言うと、遥ちゃんはその典型である。『1』から『6』までの経緯で、本編にうまく絡めないレベルになってしまった。

そして、「そういう事象」を目にすると、「なんのためにプレイヤーは努力したの」という気持ちになる。私も『8』をやっている間に、残念ながら、そうなった。

『龍が如く』シリーズの決定権を持つ人は、現状では、おそらく、海外のハイエンドゲームと、往年の RPG の名作と、日本のスマートフォン向けゲームを研究しているように思う。これに加えるならば、コマンドバトルについては、『FINAL FANTASY VII』のリメイク作(1 ヶ月後に新しいのが出るが)、『崩壊:スターレイル』あたりは、非常に現代的である。女性キャラクターの造形については、 TYPE-MOON 作品、『アトリエ』シリーズ、『ゼノブレイド 2』『同 3』あたりは、示唆を与えるように思う。

龍が如くスタジオの今後の作品では、女性キャラクターを主人公としたものが出てくるのではないかと、密かに期待している。そのキャラクターを、桐生や春日や、そして八神・海藤並の主人公として育て、大きな成功を納めるならば、最も端的な、上記の指摘に対する回答となるであろう。

シリーズの集大成としての側面もある

思ったよりもずっと、シリーズ本編を全部やっている人向けに作られているように思えた。龍が如くシリーズを途中の人は、いきなりこれをやると、桐生の終活の意味がわからないであろう。置いてけぼり感は否めないだろう。

『0』から『7 外伝』までほぼ全てに渡って、意外な人物も含めて、桐生の終活に関係してくる。もっというと、終活以外でも『JUDGE EYES』『LOST JUDGEMENT』もごくわずかに影響しているので、やっておくと楽しめる。

もちろんこれは一概に欠点というわけではない。説明不足なのではなく、『1』が発売されてから約 18 年間も紡いできた歴史の重みであると言える。シリーズの集大成であると言える。プレイヤー側も、制作者の熱量に応えるには、努力がいるということである。

これも私の予想であるが、『8』は、前スタジオヘッドである名越さんに向けて作られた作品なのではないか。「名越さんが始めた桐生のシリーズは、このようにしてフィナーレを迎えました」という、総括である。

ゲームバランスの勘所

あくまで発売から 1 週間も経っていない段階で、インターネットを遮断して私が掴んだ内容であるということに、注意されたい。界隈での理解が進むと、別の方針のほうがよくなるかもしれない。もっと詳しい信頼できる人が別のことを言っていたら、その方のほうを信用していただきたい。

ゲームバランスについての全体的な感想は「急がば回れ」である。すなわち、少ない努力でクリアを目指すのであれば、重要な要素だけを尖って育成するのではなく、各要素の育成を的確に行うことが重要である。そういうバランスになっていることを、わりと早い段階で気がつけた。

1: 絆レベル上げ

まず重要なことは、絆レベルを上げることである。

実績解除状況を見る限り、発売 1 週間の時点では、絆ドラマを最後までやっている層はかなり少ない。しかし、本作では確実にやったほうがよい。絆ドラマを進めると、通常攻撃の DPS が格段に向上するからである。連携攻撃にはダウン効果がついている。さらに、高い確率で絆追撃が決まる。標語的に言えば、通常攻撃が 3 倍の威力になる。さらに、極技よりも通常攻撃のほうが繰り出すスピードも早いので、キャラクターのレベル上げもジョブのランク上げの効率も高まり、高速なクリアが望める。こういうわけなので、絆レベル 50 の達成を目標とするべきである。

通常戦闘では、まず、極技・絆技・デリバリーヘルプで敵の体力を減らし、倒す目処が立ってきたら、通常攻撃で削りながら MP を回復する。 HP は戦闘後、安価な食べ物で回復する。こういう感じでいく。

2: ジョブのランク上げ

次に重要なことは、ジョブをまんべんなく育成することである。

各ジョブには、これ 1 択と呼べるほど強いものはないが、反面、各ジョブには欠点がかならずある。特定の属性が足りなかったり、ガード破壊ができなかったりする。これを補うのが、継承技である。

中ボス・大ボス戦では、敵の弱点をつく極技を、パーティー全体が連打するのが一番効率がよい。しかしジョブを変更できる施設は、ごくわずかな場所に限られている。特に、ダンジョンを進んでいる間は、ジョブを変更できない。ゆえに、どのような状況にも対応できるよう、継承技を充実させるのが重要である。そしてそのためには、絆レベル上げと、汎用ジョブをまんべんなく育成することが必須となる。

ジョブのランクは、ランク 10 までは一気に上がるし、最終的にはランク 30 まで比較的短時間で育成できるようになる。強力な継承技を増やすと、最終的にはスムーズな進行という形で恩恵を受ける。

育成が済み次第、武器をローテーションで使い回せることを考えると、専用ジョブよりも汎用ジョブのほうを優先して育成するべきである。各ストーリーの進行度合いに応じて、「上がりづらくなってきたな」と思ったら、別のジョブに切り替えるようにする。大事なのは、ある一定のランクに到達したら、新しいジョブに切り替えることである。

こういうわけだから、ジョブチェンジシステムが開放され次第、汎用ジョブを全て取得するべきである。人間力が足りない場合、資格試験学校でクイズを受けるように促される。まずそれをやるべきである。

3: 本編ストーリー以外もやる

最後に重要なのは、本編ストーリー以外の要素もやるようにすることである。私見では、攻略上特に重要なのは、次の 4 つである。

  • 絆さんぽ
  • ドンドコ島
  • エンディングノート
  • ローグダンジョン

絆さんぽは、絆レベルを上げる最も効果的な方法である。マップに場所が表示されるので、比較的容易にコンプリートできる。表示されないマスは、後に埋まる。絆さんぽでは絆レベル 50 には届かないものの、食事・プレゼント・キャバクラで、無理なく達成できる。

エンディングノートは、ネタバレを防ぐために詳細は避けるものの、恩恵を受けることになる。ついでにいうと、ストーリー上も、エンディング前に終わらせるのが望ましいように思う。

ドンドコ島は、最終的な金策にはなりえないが、コンプリートすると中盤の早い段階で大金を獲得できる。この時点で、全員分の星 5 防具と、いくつかの星 6 武器を購入できる。終盤の入り口までの攻略が楽になる。真島建設のヘルメットを大量に作成し敷き詰め、残りの素材でアダルトな建築物を作成するのが、早期クリアの鍵となる。

ローグダンジョンは、最終章の段階でハワイ・横浜の地下 30 階までを 1 回やるのが目安になっているように思われる。こうすることで、ラスボスまで足りるだけの経験値が稼げる。終盤の金策にもなるし、春日と桐生の星 7 防具も手に入るので、エンディング前に 1 回はやるべきであろう。