2025 年 4 月 29 日

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異動

異動になりました。今まで、所属組織の制約で研究分野には一定の制限がかかっていましたが、これが大きく広がることになります。喜ばしいことであります。しかし、これからまた新しい山に登り始めないといけないという意味では、辛抱強い努力が求められます。

前も書きましたが、研究者が民間企業で生計を立てるということは、定期的に全く違う大学院に再入学して複数回博士号を取るようなものです。しかも、時流や職種もあり、分野を選ぶことはさほどできません。通常の研究者は、私くらいの年齢にまで達すれば、大学院に再入学する規模での学び直しは必要ないでしょう。そういう意味では、大変な仕事です。

この点、幸運だったことは、大学院では純粋数学専攻だったことです。もしそうでなかったら、転職や異動は即死級の事象であることでしょう。たまたま数学専攻だったから、自分で数学の本を開きはじめれば、やがて論文レベルに到達し、事業に役に立つところまで進みます。今後時流がどのように変化しようとも、この構造自体は類比的でありつづけるでしょう。

研究分野が広がったということは、今私がどの部分に興味があるかを書くことには一層の危険があるということです。情報漏洩になりかねません。なので、今後も、日記や SNS には、ゲームのプレイ動画や、食べ物の画像を掲載していくことしかできないでしょう。

栄転

所属企業から 2 人が大学へとご栄転されました。 1 人は慶應義塾大学の准教授、もう 1 人は大阪公立大学の教授に着任されました。後者は、私と同じ年齢の方です。

非常に嬉しいことでした。その理由は、以下のとおりです。

1 つ目は、今の所属組織で研究開発を行うことは、大学で研究開発を行うことと遜色がなく、どちらも立派なことであるということがわかったからです。私自身、東大数理という数学者製造工場の出荷品であるのに、今いる企業で研究開発をしているのは “正しい” 行いなのかという疑問を、ずっと持っていました。なにせ東大数理は、ああいうところですから。その疑問を、このお 2 人は払拭してくださいました。

もちろん、今回、私が何かをしたわけではないという意味では、虎の威を借る狐もいいところです。それでも、気持ちはとても前向きなものになりました。

もう 1 つは、研究開発の重要性が社内で認知されたということです。わかりやすく言えば、研究開発のポジションから外される確率が低くなりました。確かに、研究成果が会社の事業に役に立つことは実際にあります。しかし、時間がかかります。そのため、研究開発職の重要性は、認知されないこともしばしばありました。

しかしこの点、今回のご栄転は、重く受け止められているようで、元社員が社外で活躍してくれて嬉しいという認識と同時に、シニア級の研究開発職を社内に確保しておくことの認識も広まっています。研究開発の人間を配置できる環境を整えることは、重要です。はっきりとした追い風であります。

前から書いている通り、大学に移ることは考えておらず、所属組織の利益につながるように研究開発をしていきたいと希望しております。一方で、大学の先生と話していても、会社に研究開発のポジションがあることに感心されます。大学に移った両先生と我々で共同研究をしていく機会が、今後あるとよいと思っております。

その他

ここには詳しく書きませんが、幸運がいくつも重なっているため、今までで一番大きな機会がきているのではないか。向こう 5 年くらいの成否で、残りの人生が決まってしまうのではないか。そのように思っております。

人生において、 10 代は、親ガチャで決まります。 20 代は、前の世代に気に入られるかどうかで決まります。では 30 代は? と思っていましたが、 10 代と 20 代で周りの人が被覆したメッキが剥げる前に、 “何か” をしないといけないのは間違いないですが、実際どうやらそのように進んでいるように見えます。