2025 年 3 月 27 日
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今の会社に所属してからというもの、どうしてこんなに研究開発が好調なのかと思う。その理由を書く。
好調な理由
自分の好きな研究開発ができる
私にとって、現在の所属と学校の最大の違いは、自分の好きな研究開発ができるということである。
一般論として、学校だと、自分の好きな研究ができるとされている。しかし、現実はそんなに簡単ではない。自分の好きなことよりも、学校の先生の好きなことを優先してやらないといけない。これが、私にとって非常に困難を感じることであった。外部から高く評価されようとも、学校の先生が認めないと、なかなか厳しい状況になる。大学院生やポスドクのうちは、この仕組みをハックするような動きを求められるのは否めないところである。
体力のある民間企業であるので、私に対しては、儲かることだけを条件としてくる。もちろん SDGs やコンプライアンスや規則など、遵守するべきルールは多々あるし、そこが面白いところでもある。しかし、研究テーマの選定は、私に任されている。そこが好調の理由につながっている。
一応、私の指導教員は、私のことを考えてくれていた。連続した成果を認めてくれる人は全国または全世界には必ずいるという話は聞かされていたし、実際、それは正しい。特に地方の大学には、私が過ごしやすい環境も存在しただろう。また、私が博士号を頂戴したのは 29 歳のときだった。今から振り返ると、その時点から論文を量産することは、少なくとも今の会社で成果を挙げることより、ずっと容易であった。年齢のせいで、何か出遅れているということにもならなかった。数学の業界は、よい業績にはよいと言ってくれる業界である(裏は正しくないが)。要するに、諦める必要は何もなかった。何らかの形でやる気が出ていれば、たとえそれがポスドクの頃であっても、学校所属のまともな研究者にはなっていただろう。必要以上に、過去や未来を悲観しないほうがよさそうである。
心強い営業職経験者に囲まれる
本社にいる方たちも、個人営業経験者が多い。伝統的に個人営業が強く、「新卒時点からの 3 年は他社の 10 年に匹敵する」と言われるほどである。そうした経験を経た百戦錬磨の方たちなので、私のようなどうしようもない社員の相手も、動じずこなしてくださる。これは非常に心強い。
大学で、就職の適性検査を受けたとき、「高橋さんは人間関係が決定的に重要になる仕事につかない方が良い。例えば、営業職など」と言われたのを、今でも覚えている。こういう環境にいると、今後も、営業の部分は別の人がやってくださることを期待できる。自分の一番苦手な部分に、大幅なサポートが得られている。余生を過ごすうえで、最上の幸せではないだろうか。
適切な労務管理
現在の会社は、全社で、適切な労務管理がなされている。さらにいうと、私は留年している事実があるので、働かせすぎて大事に至ったら、非常に重たい事態になる。そのため、私に対する労務管理がおかしくなる可能性は、ほぼありえない。
現に今の私は、有給休暇の今年度末消失分を、行使しようとしている。このことに、誰も反対しなかった。
あえて欠点を挙げるならば、業績を量産するために、無理が効かない。時間のほうが足りなくなるし、有給休暇中は仕事をしてはいけない。会社員なので、合理的なルールの中で会社に貢献することのほうが重要である。人によっては、学校のほうが勝ると考えるであろう。
これは私の予想であるが、私のことを単なる工数消化仕事マシーンとしてはいけないという合意が、おそらく上層部にある。もしそれが本当ならば、私としても、恩返しに、会社に奉職する所存である。