今の道で得たもの
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最近は時間がある。大学院に残り続け、学校の先生になっていたらどうなっていたか。医師になっていたらどうなっていたか。外資系企業でプログラマーをやっていたらどうなっていたか。そういうことを考えた。私が失ったものは、多々あるであろう。しかし、確実に得たものもある。
周りの人たちが善良であることである。他の道では、これ以上のものは決して得られない。最上の贈り物である。
医師になっていたら、心無い同級生からいじめられていたと思う。大学の先生になっていたら、陰湿な同僚からいじめられていたと思う。他の企業のことは論評できないが、今の業界や今の会社の人間性は、特段、優れている。
贈り物と書いた。周りの人が善良なのは、努力が実ったからでもないし、決断が優れていたからでもないし、時流を読む力があったからでもないし、対価を払ったからでもない。単に、運がよかったからである。
「性格が改善したからだ」と言うかもしれない。結論としては、性格は中高生の頃から殆ど変わっていない。何かを直す必要はなかった。生まれてから 30 年くらいまでの間、周りの人のレベルが、低かっただけだった。
「周りの人なんて気にしないのが一番だ」「周りの人に興味があるようでは大成しない」という言動もありえるかもしれない。しかし、その人たちは、恵まれているだけではないか。能力を伸ばす教育を受けられたり、教材に触れられたりして、周りの人が大事に育ててくれた結果、周りの人に興味がなくて済んだだけではないか。
周りの人の善良さが得られるなら、今以上のお金も地位も賞も称賛も、全部いらない。それくらいの価値がある。私の今までの道のりは、偶然の成果物だけで構成されていることは否定しないし、むしろそのことを短所でなく特色であるとすら捉えている。