『龍が如く 7 外伝 名を消した男』の感想
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クリアしたので、いつものように感想を述べる。ネタバレなしでいく。 2 時間くらいで書く。
以下、『龍が如く 7 外伝 名を消した男』を、単に『外伝』と表記する。シリーズの他の作品の略称は、普段ファンで使われているであろう略称を用いる。例えば『龍が如く 極』ならば『極 1』である。
この記事は、ネタバレなしではある。しかし、『外伝』の序盤ですぐに明かされる内容については触れる。ゆえに、少しもネタバレされたくない人は、この記事を読んではいけない。今すぐやるべきである。
結論
『外伝』は、『龍が如く』シリーズの往年のファンから、新規のファンに至るまで、多くのファンに響くであろう内容であった。
それどころか、『龍が如く』シリーズを新規で始める人も、いきなり『外伝』を開封し、来年 1 月発売の『8』に備えるという方針で、支障はなさそうである。
プレイ時間も短くて済むし、リリース日から Xbox Game Pass に入っているので、『龍が如く』シリーズが気になる方は、『外伝』をまずやってみるのが適切であろう。
準備
私について
ゲームの感想を書くときは、筆者がどんなステータスかを書いておかないと、読む方も困るであろう。私のステータスを書く。
私は Xbox Series X を用い、 Xbox Game Pass で『外伝』をプレイし、ストーリークリアと並行して実績を全解除した。実績全解除に必要ないものも、一部はやりきっている。難易度は最高難易度 Professional でやったが、一部の金策は最低難易度 Beginner に切り替えてやっている。ムービーは飛ばしていない。総プレイ時間は 28 時間である。
『龍が如く』シリーズの経験は、『0』『極 1』『極 2』『3』『4』『5』『6』『7』『維新! 極』を、少なくともストーリークリアまではやっている。『8』もやる予定である。発売が近くなると、会社の人から「新しいの出るんですよね? 有給取ってやりますよね?」と言われるのは、わかり切っている。
『8』の体験モードは記述しない
公式でもアナウンスされている通り、クリア後に『8』の体験モードが解禁される。私は今のところ、これを途中までやって Xbox Series X の Quick Resume 機能で止めている。公式が「ストーリー体験モード」を配信禁止区間に設定していることと、その内容を鑑み、『8』の体験モードを最後まではやらない段階でこの記事を執筆することにした。もちろんこの記事に、『8』の体験モードの内容は記述しない。
本編
ファンの分類
『龍が如く』シリーズのファンは、現在、多岐にわたっている。おおよそ次の 1. - 4. に分類ができるだろう。これ以外のファンもいるかもしれない。
- 3 人称の 3D アクションゲームが好きな人
- 私のように、そこまでストーリーを重視していない人も含む。
- ヤクザものや成人男性文化が好きな人
- 普段はゲームをやらない人も含む。シリーズ初期からのターゲット。
- 中年男性の男気あふれる生き様のファンになった人
- 主人公・桐生一馬や、真島吾朗のファンなど。近年、女性を中心に増加している。
- 現代日本やヤクザ系文化を題材としたゲームに興味がある人
- 主に海外のファンの方。近年増加している。
- 新規の人
『外伝』や、この後に発売される『8』のターゲットは、 1. - 5. の乗り合わせとなる。全員に満足してもらえるストーリーを作るのは、当然、至難の業である。しかし結論としては、冒頭で述べた通り、『外伝』は、それができている。
新規の方にとっては
まず先に 5. の方に向けて述べる。
新規の方は、『外伝』をやれば、少なくとも『8』をスタートするには無理がない段階に至るであろうと思う。無論、疑問点はいくつも残るであろう。しかし、事実を受け止めさえすれば、『0』から『6』までの 7 作をプレイしていなくても、『外伝』の展開は理解できるようになっている。少なくとも、そうなるよう、十分に配慮がなされている。
これは、朗報である。『龍が如く』シリーズに興味がある方に向けて、「まずは『外伝』をやってみては」と気軽に言えるようになったからである。
『龍が如く』シリーズは、プレイヤーへの配慮が行き届いていることでも有名である。もともと 2. のファンもしっかり取り込もうという意図で作られたシリーズである。プレイヤーのエンディングまでの到達率は高い。このことは、近年、女性ファンの増加にも寄与している。というわけで、興味がある人には、ゲームの経験の大小に関わらず、まずはやってみてはどうかと薦められる。
ただし、人に暴行する表現は、シリーズを通して過激である。そこはどうしても配慮できない。「こんなことをして不殺とか、冗談やめてよね」という表現も多々ある。そういう耐性を計測する上でも、まずは『外伝』をやるのがよいのではないかと思う。
なお、私が間違っていなければ、この記事を執筆している 2023 年 11 月現在、
- Xbox Game Pass: 『外伝』のみならず、『0』『極 1』『極 2』『3』『4』『5』『6』『7』『維新! 極』が配信中
- PlayStation Plus Extra/Premium: 『0』『極 1』『極 2』『3』『4』『5』『6』『7』が配信中
である。興味が出てきたならば、この機会に、シリーズの他の作品もやることもできる。ただし、配信されるタイトルは変化するので、加入する前に、どのタイトルが配信されているか、必ず自分で確かめてほしい。
この機会に、私のおすすめも書いておくと、『外伝』を終えた後、『8』に備えたいなら、まず『7』が最優先であろう。ただし RPG 部分は結構やりづらいかもしれない。だから、ストーリーをなぞるのを目的にしたほうがよいと思う。他にも『0』『極 1』『極 2』『6』をやると『8』への準備になる。しかし、そこまでやると途中で時間切れになるであろうから、無理のない範囲でどうぞ。
『6』〜『7』〜『外伝』
以下、 1. - 4. のファンに向けた要素について、記述を開始する。
少し前提の説明をする。『龍が如く』シリーズは、『6』がターニングポイントであった。『6』のエンディングで、主人公・桐生一馬は、「死んでやるよ」という。死亡診断書を偽装し、死んだことにし、沖縄の子どもたちを守った。それが「名を消した男」の意味するところであり、『外伝』のプロローグである。
『6』の後味は非常に悪い。桐生の選択のみならず、敵方も後味が悪い。これは 2. のファンからすると、『龍が如く』シリーズは、もはやアウトローものとは遠いところに来てしまった、と感じたであろう。また、守られた遥ちゃんにも賛同できないであろうところがある。なのに桐生は「名を消した男」になってしまう。 3. の人の支持も得られないのは、道理である。私が知る限り、『6』の結末を称賛しているファンは、皆無といってよい状況である。
この後、『7』が出た。主人公を春日一番に変更した『7』は、前評判を良い意味で裏切り、ストーリーはよかった。桐生がエージェントとして活躍していることがわかり、シリーズは繋がった。そして、『外伝』は、『6』と『7』の間を埋めるものであり、『7』の決定的なシーンに向かってストーリーが進行していく。こういうわけなので、ファンは、半信半疑の状況で『外伝』のリリースを迎えることになった。
各層のファンにアピール
『外伝』は、 1. - 5. のすべての人にアピールできる点があった。「あなたのことは見捨てていない」という意志を感じた。 5. は述べたので、 1. - 4. について記述する。
まず 1. は、本作は 3D アクションゲームとして、なかなか快適である。桐生のアクションは「応龍」と「エージェント」がある。
「応龍」は、様々な要素がプレイヤーに十分有利に作られていて、シリーズのファンなら快適にアクションが繰り出せるはずである。安直な方法は削ぎ落とされているので、最後まで強化をしても、真剣にバトルする意味が残り続ける。
「エージェント」では、ガジェットを駆使して集団戦をスピーディーに処理することができる。一部のガジェットは練りが足りない気もしたが、しかし「蜘蛛」のガジェットを駆使するだけでも立ち回りはきれいになる。他のガジェットの要素は、今後、ブラッシュアップがなされ、別の作品で活かされるであろう。
次に 2. について。ラストバトルに至る展開がよかった。『7』のあの瞬間に至ることが確定しているので、 2. の人が納得する展開はこうなるよな、というものである。『0』並の V シネマ的要素を求めている人以外なら、きっと満足するであろう。現代の日本を舞台としていれば、むしろ、このような展開を表現する機会が『外伝』として設けられたことに、 2. のファンを大事に考えているという制作者の意志を感じる。
続けて 3. について。『8』で桐生がどのような宿命を背負うかは、すでに 『8』の PV の中程で明らかになっている。ここでは、それが何であるのかを書かない。だが、それに向かっていくならば、せめて桐生に希望を与えてほしいと願うのが、桐生のファンというものであろう。
『外伝』は、桐生が活躍し、納得がいく展開になっている。キャッスルで活躍するのはかっこいいので、ファンには好印象であろう。また、『外伝』の結末は、自分の目で確かめて頂きたいが、『6』の結末を上書きすることに成功している。
『6』のこともあって、 3. の人は、相当疑っていると思う。なので、若干踏み込んで書く。『外伝』の結末においても、桐生は遥ちゃんたちと連絡が取れていない。そもそも、取れたら、それこそ『外伝』におけるプレイヤーの労力を無駄にすることにもなりかねない。だが、絶妙のところで、桐生に救いがある。考え抜かれた展開だと思った。また、『外伝』終了時点での人間関係は、良好である。桐生を取り巻く人間の間で、わだかまりがない。細心の注意が払われており、練られている。具体的にはネタバレになるので略。そして、最後には、桐生は『8』の舞台であるハワイに行けるだけの展開になっていく。そのことを一言で表現すると「『6』の結末を上書きする」となるであろう。
最後に 4. については、現代の日本をうまく題材としていて、海外のファンも興味深く見ると思う。特に 4 章の展開は、風変わりであるが、彼らに十分アピールできているように思う。 2023 年のプロ野球は、阪神タイガースが日本一になったこともあり、道頓堀に行ってみたいという海外のファンは増えるのではなかろうか。
その他の要素
難易度は Professional がちょうどよかった。桐生の全能力を開放し、最強の防具を揃えるのはそこそこの労力で済む。シリーズ恒例の亜門戦も、エンディングより前にできた。それが終わると Professional でも、大いに無双できる。とはいえ、その状態に至るまで、金策をし、ミッションを埋めていく必要はあった。
ミニゲームでは、ポケサーはけっこう大変だった。実績を解除する上ではそこまで頑張る必要はないが、最後までやろうとすると、レースごとに運が絡んで大変である。
キャバクラは、実績全解除のためには 5 人全員分をやらないといけないが、キャバクラに一生無縁な私にとっては相変わらず苦行であった。『外伝』は分量が少ないので、仕方がないとは思うものの、しかし、『0』『極 2』にあったキャバクラ経営ゲームまたはその上位互換に挿げ替えてほしいと願う。とはいえ、『龍が如く』シリーズのファンとして有名な Kson さんが出演していたのは、感慨深かった。『Fate』シリーズのように、ファンが出演者側に回っていくのは、良きシリーズの傾向である。
シリーズ恒例のコインロッカーの鍵集めは、コンタクトレンズを装備すると、マップに全部表示されるので、非常に簡単であった。システム・アドベンチャーまわりは、こういう気楽さで、今後もいいのではないか。