『龍が如く 維新!極』の感想

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この感想は「ネタバレあり」である。

1 時間くらいで書いてみる。と思って書いていたら、 2 時間もかかってしまった。

『龍が如く 維新!極』デジタルデラックスエディションを買って、ストーリークリアまで、楽しくプレイした。

なお、参考までに述べると、『龍が如く』シリーズについては、『0』『極 1』『極 2』『3』『4』『5』『6』『7』を、私は少なくともストーリークリアまでプレイしている。

ストーリー

全般

謎が謎を呼ぶようなストーリーで、次が気になり、最後まで楽しくプレイできた。

『龍が如く』シリーズは、ユーザーに対して非常に親切なシリーズである。特に、ビデオゲームを普段やっていない人たちも楽しめるように、十分な配慮が行き届いている。

私はゲームのストーリーを追うのが苦手なので、ストーリーの章の冒頭で、それまでの内容を復習をしてくれるのは、ありがたかった。

『龍が如く』シリーズのストーリーというよりも、幕末ものにありそうな、最後は希望をもって終わるストーリーであった。

歴史もの

私は新選組や幕末のことをあまりよくわかっていない。本作では、坂本龍馬が斎藤一と同一人物であるとされるが、これが本作独自の設定であることに気がつくために、インターネットでの検索を必要とした。逆に言えばそんな程度の理解でも、ストーリーを十分楽しめたともいえる。

歴史の用語に詳しくない人のために、セリフに語注までついていた。とても、ありがたかった。

このことからも推し量れる通り、本作は、歴史ものとしての完成度を高める方よりも、『龍が如く』シリーズのファンが配役や展開を楽しめる方を、優先している。

なお、本小節の以下は、余談である。

『Fate』シリーズの知識は、役に立ったようで、あまり役立てられなかった。ゲームをやっているときには、あまり頭が働いていない。例えば、ユキちゃんのおりょうは、エンディングで龍馬と新婚旅行に行く。本作では、結婚はしていないが。この結末は、それこそ『Fate/Grand Order』をやっていれば「おりょう」という名前を見た時に一発でわかるべきことであった。

『Fate』シリーズと『龍が如く 維新!極』では、沖田総司の像が違いすぎて、頭がバグりそうで死にそうになった。どちらも、美少年とは程遠い。どちらも、私が好きな人物である。

演出

映像関連

極クオリティといえる映像美であった。言葉にするのが難しいので詳細略。

武市半平太の「ほとぐらふ」が白黒であることを巧みに演出に利用した部分は、とても印象に残った。

配役

配役は、シリーズの『0』から『7』まで全てに及んでいた。

先に触れたとおり、本作は、歴史ものというよりも、「ファンディスク」である。本作『維新! 極』をプレイする前に、シリーズを『0』から『7』まで全てやっておくのが望ましいと言っても言い過ぎではなかろう。

後述の通り『0』から若頭補佐の 3 人が出演していて、彼らは文句なく重要である。その他のナンバリングタイトルからも主役級で登場人物がでている。展開上も、それらのプレイ経験を 1 つも外すことはできないように感じた。

例えば、近年のナンバリングタイトルでは、桐生が真島の兄さんと共闘して大活躍をすることは少ない。しかし、本作は、龍馬と沖田の間に友情が芽生え、協力する姿が見られる。これはシリーズのファンが望む展開であろう。

『維新! 極』で『龍が如く』シリーズに興味を持つ人は、いるかいないかはわからないが、もしいる場合は、素直に『0』から『7』までを先にプレイすることを、私は推奨したい。

こういうプレイ順を制限したりすることは、実はあまり言いたくない。しかし、本作に関しては、そういうふうに言いたくなる要素が、たくさん詰まっていた。

逆に、本作を単に歴史ものとして見た場合、肩透かしを食らうかもしれない。

俳優さんの演技

本作では『龍が如く 0』で、堂島組の若頭補佐を演じた 3 人(小沢仁志さん、竹内力さん、中野英雄さん)が、再度起用された。本作のアナウンス時に、この知らせを聞いて、私の期待度は高まった。

小沢仁志さんは、真剣に収録に臨んでいることに、素直に感動した。以下の動画を参照。記者会見時ではおちゃらけた様子であった。しかし、いざ収録となると、ビデオゲームだからといって、手を抜いたりしていない。プロ意識を感じた。

竹内力さんは、アニメやゲームに「役者をもうちょっと起用してくれるとありがたい」とおっしゃっている。以下の動画を参照。

アウトローものの映画を主戦場としてきた俳優さんたちが、自分からゲームに出演したいと言って、出演することを喜んでいる状況になったのは、時代が進んだと感じる。昔からビデオゲームをやり続けてきて、この状況を見ることができるようになったのは、とても感慨深い。

中野さんの役は、武市半平太であり、最も重要な役であるので、事前に演じている様子などは、多くは明かされなかった。しかし、以下の動画をみて、役者ならではの視点があり、素晴らしいと思った。私の期待度は一層高まった。

本作をやる前に Amazon Prime Video で、上述の 3 人の出演作をいくつか見た。『龍が如く 0』の演技は、ボイスだけとはいえ、彼らの本業と遜色ない、本職のものであると知った。

そして本作『龍が如く 維新!極』での演技も、もちろん、全く手抜きなしであった。力強く、押しの効いた演技であった。

逆に言えば、本職の男性声優さんたちは、実力ある本職の俳優さんたちという潜在的なライバルがいる中で、声での演技をしなければならない。レベルの高さを再確認した。

『龍が如く 0』の若頭補佐の 3 人に、再度、出演してもらえて、私としても、とても嬉しかった。

ゲーム性

戦闘

比較的、バランスがよいと感じた。

戦闘スタイルについて。旧作では、短銃が最強であったとのことである。この記事の「オリジナル版では短銃の型がかなり強く、文明の力で押し切ることができました」あたりを参照。

私のやった感想を述べるならば、短銃は本作でも強いと思う。実際、短銃をメインに戦った。ただし、防御とカウンターに優れた一刀を中心に戦うのが、王道だろう。

バランスのとり方としては、一刀のほうが一撃の威力が大きくなっていて、なおかつ、短銃は敵から容易に距離が詰めてこられるようになっている。これが功を奏して、現代においてリメイクするにあたって、優れたバランスになっている。

なお、乱舞も強い。囲まれたときには 360 度攻撃と回避ができる乱舞が、消去法から選ばれやすいように感じた。私自身は、短銃をメインに、乱舞をあわせて採用し、クリアした。

特定の方法でなければクリアできないということはなさそうである。『龍が如く』シリーズは、戦闘についても精密なテストプレイがなされていることが知られる。たとえばこの記事このやりとりを参照。本作も、特定の型のみでクリアできるかどうかは、検証しているはずである。

欠点もある。敵の攻撃を受け、火だるまになったり、電気でしびれたりしたあと、しばらく動けなくなる間に追撃を食らって大ダメージを食らうのは、なんとかならんのかとも思った。こういうのが断続的に続くと、やる気が削がれる。戦闘のバランスについては、満点ではないと思う。

参考までに、私のアクションゲームの好みをいうと、以下の通り。プレイヤーにできることが多く最強である。敵が全力でくるので、最初はたくさんゲームオーバーになる。しかし、プレイヤーがキャラクターの性能を引き出すことができれば、きれいにクリアできる。

本作では、プレイヤーが最強とまではいえないので、特に中規模のボスに対しては逃げの戦法をしばしば使うことになる。

戦闘中の QTE は、自動入力できるようにしてくれて、とても快適であった。

戦闘以外のゲーム

サブストーリーは、どれもサクッとプレイできて、楽しめた。この点、不満はなかった。

ミニゲームも、相変わらずよかった。競馬ならぬ競鶏があった。主にカネ稼ぎ手段として、楽しめた。セガには『STARHORSE』シリーズがあるので、お手の物だろうと思った。

この段落は、決して批判ではなく、単なる感想である。本作では、シリーズ恒例のキャバクラよろしく、遊女とお座敷遊びをするゲームがある。私は本作を、午後休をとってやってきた。「わざわざ有給をとって、よりにもよってこれをやっているのか」という感想を抱いた。と、同時に、「他の人が働いている日中に、有給をとって、不道徳な遊びをするのは、フィクションの醍醐味である」と、開き直った。

システム

コンプリートするのが、大変である。プレイした人の殆どが、時代遅れな要素を感じているのではないだろうか。

YouTube で、攻略情報を検索すると、武器・防具につける印集めが鍵を握ることがわかる。全収集は、トロフィーコンプリート・実績全解除にもかかわってくる。そして、特定の印を集めて強い武器・防具をつくることが、本作が最も大変な部分である。

絆上げも、単純にはいかない。各キャラクターからのお題(例えば、野菜をあげるなど)をこなしたら、一度マップを切り替える必要がある。

無理もないと言える。旧作が発売された頃は、ソシャゲ全盛期だった。当時は、コレクションに手間がかかるのは容認されていた。乱数に負けないようにプレイヤー自身が周回をこなすのもそう。むしろ、「それがゲームというものだ」という時代であった。

しかし、今、本作を極クオリティで出すのであれば、もっと単純に入手できるようにしたほうがよかったのではなかろうか。

『龍が如く』ファンの間で有名な kson さんは、旧作のトロフィーコンプリートをするために 5 年かかったという。不思議ではない。私は、トロフィーコンプリートを目指さず、次のゲームをすることに決めた。