近状 2023 年 1 月

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近状

最近はどんなものかというと、「24 時間 365 日、自分の研究のために生きている」という状態です。周りの人も親切だし、雇用は安定しているから長期戦もこなせます。

「それなのにどうしてビデオゲームを買って休暇をとってやろうとしているのか」と言われそうです。私の結論を書いておきます。「そもそもどうして研究開発をやっているのか」ということについては、また別の機会に。

1 日あたりの研究時間の限界

私は昔、大学院での指導教員から「起きてからすべての時間を数学に」と言われたことがありました。それ以前からずっと、どうすれば研究時間を伸ばせるのか、考察してきました。

結論は、以下の通りです。

  • 「起きてからすべての時間を数学に」は、現在この歳になっても、実行可能である。
  • ただし、そのうち何らかの進捗が出るのは、最初の 4 時間程度である。
    • 4 時間経過後は、ほとんど進捗がない。
    • それどころか、 4 時間経過後に計算したり到達したりした内容は、間違っていることが多い。その修正に後日、別途作業が発生する可能性を無視できない。
    • さらにいうと、 4 時間経過後に頑張り続けても、やがて体力がなくなって、翌日から最長 2 日間が使い物にならなくなる。

このことの詳細は、この記事では省略します。

これは、私が大学 4 年生のときから、昨年の 12 月まで、何度も積み重ねてきた「実験結果」です。すなわち、何度やっても上限を打ち壊すことができずに敗れてきた「敗戦記録」です。一言で言えば「実質の研究時間は 1 日あたり 4 時間である」ということになります。

結果に基づいた最適戦略

以上を事実として、以下、最適戦略を考察していきます。以下の 2 つの考え方から構成されています。

  1. 「実質の研究時間」の 4 時間を、できるだけ毎日繰り返す。
  2. 「実質の研究時間」の 4 時間を、できるだけ有意義なものにする。

まず 1 について。いろいろな方に協力を仰ぎ、「実質の研究時間」の 4 時間を、毎日毎日、確保することにしました。現在、朝 7:00 から昼 13:00 まで、 1 週間に 1 件を除いて、毎日、予定が入らないようになっています。ここで、「実質の研究時間」の 4 時間を過ごします。この間に 1 回の食事と、食後の休憩(たいてい新聞を読む)、それと必要な休憩(水を飲む、トイレに立つなど)がありますが、差し引いても 4 時間は確保されます。

「実質の研究時間」でない残りの 20 時間の過ごし方が重要です。残りの 20 時間で、「実質の研究時間」の 4 時間のための体力を回復する、または、削らないことが重要です。そこで 13 時以降も、高度な予定を入れないようにしています。平日のこの時間は LaTeX 打ちをすることが多いものの、疲れを感じたらすぐにやめて、適当に過ごします。規定の終業時刻になったら、できるだけ速やかに寝ます。休日のこの時間は、もちろんビデオゲームをやります。入眠時刻は平日と同様にしています。

次に 2 について。私がやっていることは、ほぼ全て頭脳労働です。ゆえに、睡眠は大事です。記憶が定着するのはレム睡眠、とか、池谷先生の本をはじめ、いろいろ言われています。私の実感とも合っています。ならば「実質の研究時間」の 4 時間が有意義なものになるためにも、十分寝るべきです。現在の私は、睡眠時間を 1 回あたり最大 12 時間とれるようにスケジュールを調整できます。もちろんこんなに寝ませんが、毎日寝たいだけ寝られます。実際は 6 時間くらいで起きてしまう日もありますが、目安としては 8 時間くらい寝ています。

「実質の研究時間」でない 20 時間で、毎日毎日、脳トレをやり、鬼トレをやり、新聞を読み、音読をしています。これらがどれだけ効果があるのかは、私の定見はありません。脳トレの川島先生の研究グループの論文を真面目に読んだこともありません。ただし、私がいろいろ自分で記録をつけた限りにおいては、これらは「実質の研究時間」の 4 時間にいい影響を与えていると個人的に感じています。「実質の研究時間」の 4 時間を、外部の時間から支援しています。

今書いたこと以外にも、いろいろ工夫をしています。一部は実験中ですので、この辺にしておきます。

休暇のとり方

この体制においては、午前に休暇を取ると、人生で研究をやれる日が 1 日減ってしまいます。これは、何の意味もありません。だから、今回の休暇では、午後休をとります。午後休をとった日は、土日と同様です。最近は LaTeX 打ちする予定もないので、午後は連日休みにして問題は生じません。こうして、ビデオゲームをやる時間を捻出していきます。だから、研究時間以外にビデオゲームをやることは、研究を充実させることにつながっています。

結論

私にとっての「起きてからすべての時間を数学に」とは、「実質の研究時間」の 4 時間を、できるだけ毎日繰り返し、できるだけ有意義なものにするということです。そのために「実質の研究時間」ではない 20 時間を、「実質の研究時間」の 4 時間を輝かせるために使用します。

だから私の場合、「起きてからすべての時間を数学に」どころか、「24 時間 365 日、自分の研究のために生きている」といえます。

もちろん、誇張表現があります。「365 日」はできません。起きてからもどうしようもなく疲れている日や、朝から病院で人間ドックを受ける日や、どうしても午前からオフィスに行く予定があるなどの場合は、その日の研究を断念するでしょう。無理に午後にやっても、翌朝の午後に響くでしょう。 365 日皆勤賞をとるを目標にするのは、脳トレだけで十分です。

以上が私の現在の結論です。

その他

不満に思うこととして何が挙げられるか、この 2 年間くらいずっと考えています。しかし、何も思いつきません。細かく不満に思うことは、言えばたいてい解決されます。制度設計のようなことでも、不満を言ってから 1 年後には解決しています。

当たり前ですが、私には学校に戻るつもりはありません。だから、少しでもマネタイズに結びつきそうなものは、躊躇なく、非公開という選択をします。組織の中で評価されていればそれで十分です。

本日行われた王将戦第 2 局では、羽生さんが藤井さんに 1 勝をあげました。 2 日制で、伸び盛りで体力のある若き最強棋士相手に、羽生先生も勝ちきっているのだから、私もがんばらなくてはなりません。私自身、やる気に満ち溢れていて、高い「山」をどこまででも登っていけるような気がしています。

私にとっての「起きてからすべての時間を数学に」を、今後も続けていきます。