東大の学部入試の英語の対策

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目的

この記事は以下の受験生のために書いたものです。万人のためではありません。

  • AtCoder で好成績をあげているなどして、数学や理科に advantage がある(理系の)受験生。つまり、数学や理科はすでに合格ラインに乗っている、または受験当日までには合格ラインに乗る人を対象とする。
  • しかし東大英語に特化した指導を受けられないため、独学で対応する必要がある受験生。

河合塾や鉄緑会にいくなど、周りに東大英語に向けて指導できるまともな指導者がいる場合は、その人に従ってください。

目的は以下の通りです。

  • 上記の受験生が、英語で高得点を取って東大に合格する勉強法を提示する。近年の東大入試は数学の難易度がまちまちで得点が読みにくい。ましてや他の受験生と点差がどれだけつくかは読みづらい。その点理科と英語は十分易しいので、上記の受験生は英語の勉強を補えば東大に受かる可能性が高い。

私の周りには AtCoder 好きな高校生や受験生が多いし、住んでいる地域も日本国内でバラバラであるようだ。私は地方出身だからわかるのだが、東大英語に独学で対応するのは本当に難しい。何を信用したらいいのかすらわからない。その状態のまま東大受験をすると、理科や数学だけでガチャを引くようなものだから、この記事で英語を補いたいと思う。

目標

センター試験で 190 点、二次試験で 90-100 点を目標にする。

センター試験は東進が独自の合格者平均点を出しているが、おおよそどの科類も 190 点程度である。また、現状の東大入試は解答・配点・採点基準をほとんど公開していないので点数は読みにくいが、英語が得意なら 100 点以上は取れるのは間違いなさそうである。そこで目標点数を 90-100 点に設定するのはおかしくはないだろう。

私は東大の学部入試の英語の問題はまだ解けるし、もう一度東大を受験しなさいと言われれば上記目標点数を達成するだけの準備はできる。とはいえ、河合塾の高沢先生のような英語の専門家ではないので、英語の指導はできない。そこでどの本をどのレベルで読めば良いのか書く。

雛形となるメソッド

基本的には以下の関先生の本のメソッドを踏襲して勉強すると良いと思う。

しかしこの本は、東大には対応できていない。例えばセンター試験は簡単だと言い切っているが、おそらく 160 - 180 点程度のことを指しているのだと思う。東大受験生は 190 点を取るのが妥当である。そしてセンター試験で 190 点を取るために勉強しておけば、二次試験もかなり得点しやすくなる。詳しくは後述。さらにいうと、捨て問にハマるなと書いてあるが、東大の場合は捨て問はほぼない。読解は難しくないからである。ただ時間制限と語彙力の限界があるので結果的に捨て問が生じる。練習では 120 点満点を取るつもりで準備し、本番で少し取りこぼして 100 点を狙うというのが妥当だと思う。

また、東大の設問形式は独特である。 1A は要約であるが、巷の参考書のほとんどにデタラメなことが書かれている。 1B の段落整序はむしろセンターの方が似た設問が出るくらいで、他の大学の過去問では十分な対策が取れない。などなど、詳しくはあとで述べるが、語学の才能がない限りは、特化した対策が必須である。

これに対応するためには河合塾の東大即応オープンの解説が一番妥当である。これは模擬試験ではあるが、解説が極めて的確で、どのように本試験に対応したらいいかが書かれている。思うに、デタラメな参考書の粗悪な解説を読むより、河合塾の東大即応オープンの解説をよく読み、そのコツにしたがって過去問を必死に解く方が良いと思う。

2020 年版も発売になるはずだが、どの年度も解説に書いてあるメソッドはほぼ変わらない。書店で取り寄せるなどして早いうちに入手しておいたほうがいい。

センター試験と東大の関係

以下「センター試験」とかいた場合は「センター試験 190 点」のことを指すものと規約する。

東大の問題は独特であるが、対策の鍵となる試験はセンター試験である。私見ではあるが、東大の入試に一番近い試験は、センター試験である。センター試験の前身は共通一次試験であり、その前身は東大の一次試験である。それらは今日に至るまで独自の発展を遂げているが、設問の鍵となる事項はいまだによく似ている。表裏一体の試験から派生してできているのだから、当たり前である。

特にセンター試験の読解は、普通の受験生よりも真面目にやった方がいい。その理由は以下の通りである。

  1. センター試験は、本文自体は簡単であるが、 190 点を取るのは意外と難しい。正解の選択肢は激しくパラフレーズされており、さらに不正解の選択肢は選びやすそうに作られているからである。どれだけ優秀でも、語学の才能がない人は、どこかで間違えると思う。どこでどのように間違えたかを記録しておくのが重要である。これは二次試験にも有効である。
  2. 東大対策としては、むしろ本文がある程度のレベルに抑えられている方がいい。他の国公立や私立大学では本文が難しいあまり語注をつけるが、東大はパラフレーズしてある。ゆえに、一見簡単そうに見えるが、逆に言えば設問が巧妙で、さらに取りこぼしができない。それに対応する最も確実で独学でできる対策は、センター試験で間違えた箇所を検証することである。
  3. 東大の二次試験に似ている読解の素材がセンター試験くらいしかない。特に、段落整序、ノンフィクション・物語文の読解はセンター試験と東大くらいしかまともに出していない。ゆえに他大学の過去問をやるくらいなら、センター試験と東大の過去問をやるのがよい。

以下ではこの思想で勉強の手順を書く。

英語力について

まず、東大の英語の試験は、英語の試験なので、英語力がないと話にならない。英語力自体は上の関先生の本のメソッドで必ずつくので、東大向けにアレンジして 2019 年現在絶版となっていない本を選んで書いておく。

英単語・熟語

関先生の本のメソッドで覚える。頭の良さは全く関係ない。ただ繰り返して覚えるだけである。現時点で絶版になっていない本のうち、色々本はあるが、関先生のメソッドならばシス単または Stock が妥当であろう。好きな方を使うと良い。

東大とセンター試験では熟語は極めて重要である。現行のレベルでは失点が許されない。熟語集は最近出た以下のものが決定版に近い。これはいい本だと思う。

高校生までで、すでに単語についてはある程度頭に入っているなら、鉄壁をやるとなお良い(時間がないならこれはやめた方がいい)。ほとんどの単語は知っていると思うが、向こうが出題してきそうなことは完璧に指摘されている。

上記の本は全て音声教材が手に入るので、学習もしやすいと思う。

文法

基本的には関先生の本のメソッドで良いが、『実践ロイヤル英文法』は全部は読む必要はない。手元には置いておいた方がいいとは思うが。また「 2 冊目」をやる必要はない。その代わりセンター試験の過去問の第 2 問を全部ローラーすることを「 2 冊目」の代わりにやるのがおすすめである。

センター試験の第 2 問の文法・語法問題は、独特である。私立大学の問題と違った観点から聞いてくる。それが東大入試で問われるものにかなり近いと私は感じる。ここはだいたい満点阻止問題が含まれていて、適当な問題集をやるよりずっと骨が折れる。

英文解釈

関先生の本では、ある本が「これがいい本だ」とはっきり書いてあるが、正直に言って決定版はない。好きなものをやればいいと思う。というのも古い本が多くて、あまり良くないなと思うからである。

AtCoder が好きな理系の受験生だと以下の本が良いと思う。私もこれをやって完璧にわかった。ただしだいぶ古いと思う。

逆にこれが論理的すぎて合わないと思うなら以下の本がまともだと思う。

これもどれか 1 種類だけやれば十分である。予備校の先生は和訳の授業を持つのが普通で、それで良いのだが、異常なまでに綺麗な日本語訳を求めすぎる人も中にはいる。そういう人に感化されないことも重要である。受験生に求められていることは、構文が正しくわかっていることを日本語訳でアピールすることである。ゆえに、試験場で確実に、不正解とまでは言えないレベルの日本語を選択することが重要である。誤解を恐れずに言えば、直訳でいい。余計な勉強をしている暇はない。

読解の実践演習

余計な問題集を買う必要はないし、多読もする必要はない。センター試験の過去問と東大の過去問を必死にといた方がいい。特にセンター試験、東大 1B, 4B, 5 は満点またはほぼ満点の正解が過去問題集に載っているので心強い。これが一番良質である。

音読はやっている暇はないと思う。というのも本文自体はセンター試験も東大も難しくはないから、音読でならす必要がない。私は河合塾で高沢先生から指導を受けたのだが「講義で解説し終えた問題を音読したり再度解いたりしている暇があったら次の問題を予習しなさい。ただし要約や和訳は完全な答案ができるまで解答を直して私に見せなさい」であった。つまり、設問に対応する鍵を揃える方が重要である。そしてそれが大学入学以降に役に立つ。設問を間違えた場合は、どうして間違えたのか、どうするべきだったのかを詳しく調べる。正しかった場合も、正しい選択肢を選んだ根拠が曖昧では意味がないのでその場合は検証し直す。

あとこの時点で英作文やリスニングの勉強もし始めた方がいい。二次試験での比重が高いから、時間を割いて対策をする必要がある。英作文は、関先生のメソッドで十分である。ただし自由英作文の対策はせず、和文英訳の対策の方がいい。リスニングも、基本的には関先生のメソッドで十分であるが、教材はセンター試験の英語リスニングがいいと思う。この理由は後述する。

ちなみにセンター試験の英語リスニングは東進の過去問集に 10 年分載っている上に設問別にトラックが区切ってあるので、勉強に便利である。これをシャドウィングすると良い。

過去問演習

関先生の本にある通り、過去問演習期に入ったら過去問演習を始める。全く難しいことをする必要はない。上の延長をすると良い。ここで大事なのは、正しい解答を見ることである。過去問の場合は河合塾の解答速報は満点を取れていると思われるので、これを信用するべきである。あと、東大オープンの解説を信用する。以下では設問対策を述べる。

設問対策について

1A 要約

満点が取れるので満点を取るつもりで対策をするべきである。

現行の東大の問題の中で 2 番目に易しい問題である。ただしその対策は独学では非常に取りづらい。以下では最善と思われる対策を述べる。

まず東大オープンの問題を解き、解説を読む。東大オープンの過去問集も売られているので、それもやる。その方法論を雛形にして、過去問演習をする。そして河合塾の解答速報をみて反省する。これが最善の対策である。巷にはデタラメな解答が多すぎるので、むしろそれらの影響を受けない方がいい。

1B 段落整序

満点が取れるので満点を取るつもりで対策をするべきである。

紆余曲折あったが、現行の東大の問題の中で 1 番易しい問題である。対策は過去問演習と、あとセンター試験である。しっかりできていれば確実に解けるはずである。

2AB 英作文

ほぼ満点が取れるのでほぼ満点を取るつもりで対策をするべきである。

東大の英作文の特徴は、東大オープンの解説にも載っている通り、完全な自由英作文ではないということである。ほぼ確実に課題英作文であり、少し前までは書く内容がほぼ完全に決まっていた。内容にある程度自由度がある場合も、「事前の準備」ができないような内容になっている。それらを書く練習をするべきである。

関先生のメソッドだと、自由英作文より和文英訳の演習をした方が得点に結びつく。試験場では満点は取れないだろうが、逆に考えれば、東大は書く内容は指定しているが日本語は指定してきていない。関先生のメソッドがぴったり合うはずである。

2018 年からは普通の和文英訳が復活したが、文法事項の確認問題のようなものである。やはり普通の和文英訳をすれば十分である。

3ABC リスニング

満点は取れないし、上位層になるとほぼ点差はつかないが、ある程度対策はするべきである。

まず、以下の特徴がある。

  • まず東大のリスニングの内容自体は非常に難しい。設問とスクリプトを見比べると英検 1 級レベルである。まずこのことを受け止める必要がある。
  • ただし、読み上げスピードはそこまで早くはないことが分析からわかっている。リスニングの時間が 30 分であり、 2 回読まれ、ポーズがあることを考えると、どのくらいのスピードなのかは逆算できてしまう。それによると、センター試験より少し早い程度であり、いわゆるナチュラルスピードではないことが予備校の調査からわかっている。
  • さらに 2 回読まれる。これが大きい。設問を解いた上でさらに確認ができる。

要するに、センター試験のレベルを上げたようなものだと思えばわかりやすい。英検 1 級レベルであるからよほど英語が得意でない限り満点は取れない。しかし、読み上げスピードがセンター試験より少し上程度で、 2 回読まれるから、英語の読解力がある人はある程度聞き取れて設問も解けてしまう。ゆえにそこまで激しくは点差がつかないのである。これが東大英語リスニングのポイントである。

対策は、関先生の方法で過去問演習することに尽きる。ただし満点は取れないと思っておくべきである。練習でも、シャドウィングなど復習はするべきだが、得点自体は 24 点くらい取れたら十分であろう。

4A 文法

満点は取れない。特化した対策はしなくて良い。

文法問題は誤文指摘か整序であるが、満点を取るのは極めて難しい。試験場では時間をかけられないからである。とにかく満点は取れないと思っておくべきである。

4B 和訳

ほぼ満点が取れるのでほぼ満点を取るつもりで対策をするべきである。

現行の和訳は難しくはない。基礎力重視になってきているので、構文が取れて、妥当な日本語を当てはめることはできるはずである。

重要なことは、直訳で良いということである。東大の採点はトリプルチェックするのが普通である。教員によって考え方は様々であるが、基本的に文系・理系の受験生が同じ問題を解くから、いわゆる綺麗な日本語訳までは求められていない。構文が取れている、不正解でない日本語訳が付いていると向こう側が判定すれば、仮に満点でなかったとしても、受験生の中では最高レベルの得点をつけてくれるはずである。英語に日本語を完全に対応させるのが不可能であるのは向こうが専門家であるからよく知っているはずである。「綺麗な日本語訳」にこだわり過ぎないように。

5 読解総合

満点は取れない。過去問以上に特化した対策はしなくて良い。

4A 同様、時間制限もあるので、満点を取るのが難しい。そもそも物語文やノンフィクションの読解教材が少ない。センター試験の延長で過去問を勉強しておけば十分だろう。幸いにして客観式の問題が中心であるから、独学自体はしやすい。ただし本番では満点は取れない、どこかで取りこぼしはあると思っておくべきである。