東大学部入試英語 2019 年度やってみた

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今日は調子が悪いので数学はできない。英語をやるしかない。

時々東大の英語について言及しているので、私の実力がどれだけ上がったのか、または衰えたのか確かめることにした。

リスニングのスクリプトや音源が公開されていないため 3 を解くことはできない。マークする時間や解答を書く時間を考慮し、制限時間 80 分とした。河合塾の解答と付き合わせて自分の答案を反省することにする。

1A

私の解答

以前は子供たちは労働者とみなされ親から暴力を受ける危険もあったが、19世紀後半から労働者や親から独立した存在として国から権利が保証されるようになった。

講評

配点が 12 点だとすると 9 点か 8 点くらいしか取れていないと思う。

  1. 産業化以前は、児童は労働力、労働者であった。
  2. 産業化以前は、児童は親の私有財産、または、親から虐待を受ける危険があった。
  3. 19世紀後半以降、国から権利が保証されるようになった。
  4. より具体的には、虐待が禁止、法的保護が受けられるようになった。

私の答案では 4 を落としている。 4 を落とすと、字数も余り気味だし、変化を説明したことにならない。

書き直した解答

子供たちは、産業化以前は労働者で親から暴力を受ける危険もあったが、19世紀後半以降は子供として国から法的保護を受け、暴力が禁止され教育や遊ぶ権利が保証された。

短くまとめるアイデアはいくつかある。受験生は短く書くことができれば十分だが、大学に通った後に振り返ると、一定以上のわかりやすさを損なわないことも重要だと感じる。

  • 「親の所有物」と書いて、後から「虐待が禁止」として暗喩的に具体化する。または「親から暴力を受ける危険もあった」と書いて「暴力が禁止」と書けばこの部分は十分指摘したことになる。
    • 私は試験場で「虐待」という漢字を書くことが間違いなくできないので「暴力」とした。
  • 「労動者や親から独立した存在」だとわかりにくいので「子供として」と書く。しかしここは落としても構わないと思う。「法的保護」「権利を保証」で十分伝わるからである。
  • 「法的保護」という言葉は書きたいが、「国から権利を保証され」で十分まとまっていると思う。国が権利を保証するということは法律を作ることを通常意味するからである。
  • 「虐待が禁止され」は書く必要がある。「変化の内容」を要約する必要があるから。
  • 「権利が保証」だとよくわからないので、私は「教育や遊ぶ」と書いた。確実によくなっていると思う。しかし具体例だからここまで書く必要まではないと思う。

感想

要約は potential は問題ないが、短い時間で全要素を盛り込んだ答案を書くためには、事前に練習しておく必要がある。やっぱり非常に難しい。もう一度試験を受けるなら(一生受けないと思うけど)事前に練習しておく必要があると思った。

10 年前に高沢先生にみていただいたのであるが、要約の練習は間違いなく役に立っている。大学では字数制限内で最高レベルの要約文を書くことは、理系でも重要である。要約文が、わかりやすく、さらに、短いことは、猛烈に重要である。

余談

ちなみに某予備校の解答は 1 を落としているし、某予備校は 4 の虐待を禁止の部分を落としている。きっとこれから出てくる答案も満点が取れている答案はほぼないだろう。基本的に河合塾の答案を参考にするべきである。

1B

解答

(ア) meaning, (イ) a, e, d, f, h, c

感想

全問正解でした。記述用紙の方には「 meaning 以外に入りようがないだろ!!」と思った。後ろの方にきちんと meaning があったので安心した。

マークシートの方は、ひっかけの選択肢が全くない。普通に読めば「ここにこんなのが入りそう」というのはすぐにわかる。例えば (1) は音楽が言語なのか疑うような選択肢しか入りようがないだろ。パラグラフリーディングやディスコースマーカーとかわけわかんないメソッドは全く必要ありません。

あと最後まできちんと読むのも大事である。 (6) は一番難しいと思う。この段落の後ろでは「音楽と言語、車を運転するような複雑な行動ではたくさんの脳の部位が使われている」とまでしか書いていない。したがって、これは次の段落まで読まないと確信を持って入れることができない。だからこの段落で問題文は終わってないのである。しかしここまで全問正解できていれば消去法で容易に正解が得られる。

あと文法的知識もあるとかなりわかりやすい。 (5) は Yet none of these elements … とあるので 3 つ以上前に element がないといけない。 notes, chords, and intervals とあるので間違いなくこれだとわかる。

もう一つ言っておくと、段落ごとにメモを取っておくと時間短縮に繋がる。高沢先生はご自身も問題を解くときに段落ごとにメモを取っていらしたが、まさにこのような問題で効果がある。この問題は段落ごとに相当内容がばらけている。相当のスピードで読みながら頭の中で覚えているのは難しいだろう。この問題の場合 ($n$) の中に入る文が推測しやすいので、せめてそれだけはメモしておくといいと思う。

2A

私の解答

I would like to make “Forest Day” as a national holiday in Japan. My aim is that we think not only of how to protect forests but also of how to live with forests. In Japan, we are in trouble with hey fever every spring. In my opinion, it is good that we should think how many trees we have to cut without destroying the nature and discuss this issue in this day.

感想

私が受験生の頃は、東大の学部入試の英作文は、非常に厳しい制約がかかっている課題英作文で、事実上書くことが決まっていた。最近はこの問題のように、書く内容を自分で考える必要がある問題が多く出題されている。

その点、この問題は難しい。書く内容には指示がある。「提案したい祝日」「意義」「望ましいと考えるか」である。このうち「意義」を書くのが猛烈に難しい。「望ましいと考える」理由は、提案したいものを考えれば自動的に出てくるだろう。しかしその「意義」をまた別に説明しなくてはならないというのは非常に難しい。

逆に言えば「意義」をかけるような「提案したい祝日」を考えるのが大事だとも言える。私は「意義」から発想して上のように解答を書いた。つまり祝日は単に祝うだけでなくて、議論をしたり、何かを考えたりするきっかけになるような日であるようにするといいというわけである。

こういう発想をすると、 pros and cons の色々な話題を使えることがわかるだろう。私は「核兵器はどうするべきか」「死刑制度に賛成か反対か」「震災(戦争)を忘れないとはどういう意味であるべきか」といった内容も思いついたが、これらは「祝日」としてはふさわしくない。そこで、上のように森林伐採について考える日にしてみた。これなら基本的には自然を守る日という positive な意味もあるし、作文に書いた内容である適度な森林伐採を考えるという意義がある。そういう話題を思いつく必要がある。

作文自体は難しくはない。自分が絶対正しいと確信している表現だけ使って超平易に書けば十分である。詳しく調べると destroy nature の方が良さそう。

2B

私の解答

The most important thing is that we realize that it is us that destroy the invaluable nature by plastic waste in the daily life by ourselves.

講評

そこまで酷くはないけど、もう少しよく書け…とは思う。

  • 「私たちひとりひとり」は each of us と書けばいい。もちろん単数である。
  • 強調構文に誤りがある。 we ourselves であるべき。あと、多分「強調構文を使え」という日本語だから使ったけれども、この文章全体を訳す場合は、必要もないかもしれない。強調構文は対比のために使うからである。
  • 末尾に by ourselves だとどこを修飾しているのかわかりづらい。これは完全によくない。同じ理屈で in the daily life も前の方がいい。
  • 「汚染している」は、私はわからなかったので「自然破壊をしている」ということで destroy にした。 pollute が一番いい訳語だが語法が怪しかったのでやめた。自分が絶対正しいと確信している英文を書くほうがずっといい。
  • 「汚染している」は、時制は現在進行形がなおよい。現在形だと、ずっと不変の真理を表している。そこまで大きく減点ではないだろうが、ここではプラスチックごみを出すのをやめるべきだという文意なので、現在進行形で今に限定したほうがいい。
  • 「かけがえののない」は、適当な形容詞を当てはめればいい。 invaluable にしたが precious なども良いだろう。 important はコロケーション的になんとなく合ってない気がするので避けたほうがいい。

だいぶ実力落ちているなと思う。数学の英語ばかり書いているからこういうアホみたいなことになる。もっと練習せねば…

書き直した解答

The most important thing is that in the dairy life each of us realizes that it is we ourselves that are destroying invaluable nature by plastic waste.

4A

私の解答

a, d, b, a, e

正解

a, d, c, e, e

(24), (25) を間違えてしまった。

感想

昔から思っていたのだけど、ぶっちゃけ東大の文法問題で満点を取るのは難しい。試験場で気づけと言われてどれだけ気付けるかは本当に厳しい。以下解説を書く。

  • (22) (a) not suited by nature at -> not suited by nature for : これはかなり難しい。消去法で私は選んだ。 be suitable for から連想する。
  • (23) (d) which had either been grounded in the view -> which had been grounded in the view :これはなぜ either があるのか全くわからない。 either は副詞で使う場合は either A or B の形、または、否定文の中で使う。こんな使い方はない。非常に難しい問題だと思う。これも消去法で選んだ。
  • (24) (c) dedicate her to a religious life -> dedicate herself to a religious life : 答えを見れば明らかですね。これは鉄壁の例文にかなり似た例文があるので覚えておくと一撃でわかる。やっぱり鉄壁の例文もきっちりチェックするのが大事だと思う。ちなみにシス単だと下の方に載っているので私は見逃して間違えてしまったというわけである。
    • (b) retire は「辞める」では自動詞なので from を伴うのは正しい。
  • (25) (e) reduce almost uniform methods to -> reduce to almost uniform methods : reduce A to B は「 A を B に減らす」=「 A を B にする」ということなので、むしろこの文脈では逆である。ゆえに、文意がおかしい。逆にする。これはいつもみているがゆえに間違えてしまった。
    • (a) From mathematics, however, come truths that are wholly certain. これはただの MVS 倒置である。
  • (26) (e) perceiving in its mastery of an opportunity -> perceiving in its mastery an opportunity : perceive は第 3 文型を取るはずなので、おかしい。正直直し方はわからなかったけどとりあえずこれだと確信はしていた。

この文章自体は興味深かった。女性は数学をはじめとする自然科学に向いていない理由が無いので、たくさんの女性が専門数学を志して欲しいと思う。こちらが原文であるが、毎度のことながら、東大は難しい語彙を易しくリライトしている。非常に参考になる。

4B

私の解答

(ア) その島へ行くのは一定の時間がかかるのは確かであるが、私が島の外に住んだのは私が訪れたい場所が他にあったからであった。

(イ) 子供たちがいつか自らの存在という負債をいつの日か払い戻してくれるかもしれないという期待を込めて子供たちを育てるのはことはばかげていて利己的なことであった。

(ウ) この信条は彼らのペットへの愛情を説明するものである。その愛情は色々な点で私たちが一般的にペットとはかくあるべきものであるということに反する。

講評

(ア) stay away の解釈が間違っている。「島に行かないでいた」が正しい。これ以外は他の答案は満点がつくと思う。

(イ) pay back the debt of their existence のところが難しい。高沢先生から言われたのは、東大の問題だからといって特別に難しく意訳する必要はない、普通に直訳すればいいということだった。より丁寧に訳出すると「子供たちが自らの存在という恩義にいつの日か報いてくれるかもしれない」というのがよい訳である。ただ別に私の答案で十分満点がつくはずである。アホな指導者が自分の綺麗な日本語訳以外の答案以外は減点すると脅してくることに決して動じないように。

(ウ) これは一文にまとめることもできるが、面倒なので関係詞以下は別文で訳出した。

5

私の解答

(A) 雑誌 “The Idler” は忙しさに反発し無意味さの価値を見い出すために刊行されていることを体現するために、雑誌が何もしないように刊行を続けたということ。

(B) 私たちは空にある雲といったものに物思いのふける感覚を失うほど忙しい時代に足を踏み入れつつあったということ。

(C) What is it that’s so pleasing about this layer of

(D) (ア) c, a, e, g, i, j, (イ) d, (ウ) e

正解例

(A) 雑誌 “The Idler” は無意味さの価値を見い出すために刊行されているものであったというのに、その運営に力を注ぎすぎて Pretor-Pinney は燃え尽きてしまったというのは皮肉であるということ。

(B) 私たちは、インターネット上にある驚くべきものに驚いているため、空にある雲のような周りのものに物思いのふける感覚を失うほどの時代に足を踏み入れつつあったということ。

(C) What is it that’s so pleasing about this layer of

(D) (ア) h, a, e, g, i, c, (イ) d, (ウ) a

講評

ひどすぎる。全然読めていない。昔から 5 の問題は苦手なんですよね。エッセイや小説風の問題が出て、しかも語法や熟語がガンガン問われる。この問題は熟語はさほど問われないだけましなのだが。

ぶっちゃけ (A) は全然わかりませんでした。 burned out をいかに解釈するかがポイントで、本人が燃え尽きたと考えないといけない。相当発想力が要求される。

(B) もよくないですね。後ろの内容を全然踏まえていないので。これはこの辺全然読めていないですね。

(C) は簡単でした。強調構文であることを見抜けばあとは適当に並べ替えるだけです。

(D) (ア) は最初のを入れ間違えているのが痛い。 exhaust を正確に記憶していないのが痛かった。これがなければ勝っていた。(ウ) は、選択肢を読み間違えている。まず、

He remembered, as a child, being charmed by them (= cloud) …

であるから a が間違いである。一方で e は正しくて、英語を読み間違えていた。

Pretor-Pinney was busy both when … and when …

なので、両方を兼任していたわけではない。きちんと and をつなぐものを読まないといけない。前半は最終的に休暇をとるほど忙しくなったわけだし、後半は本文に書かれている通り超人気だったわけだからそりゃ忙しかった。

全体を通しての感想

問題文を読むスピードや英語を書くスピードは落ちていない。要約や構文解釈や作文力もほぼ問題ない。

ただエッセイのような文章やメタ事項の読み取りを苦手としているのは 10 年経っても変わらないなと思った。 5-(A) は言われてようやくわかったよ。

あと細かいけど基本的な語法については必死になって補っていかないといけないと思った。いつまでも 4A を 5 を苦手としてはいけない。間違いの数がさらに半分になると良いと思う。今回はやらなかったけれどもリスニングの力も衰えているだろう。

総合的に見ると、仮にリスニングもやったとして、 80-90 点くらいしか取れていないと思う。 10 年間で落としてしまった分も含めて頑張らねば。 100-110 点を取るのが私の目標です。