東大学部入試の難易度と、受験生の行動

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幸いにして(?)今の私は東大、それどころかアカデミアにすら所属していない。そんな状態になるのは、後から振り返ると今しかない可能性もあるから、ここに東大の学部入試について言っておきたいことを書いておきます。

どーせこの日記は数理科学研究科の先生も見ているだろうから、特にその人たちに見られている前提で書く。特に作問してセットを作っている先生方に読んでもらいたい。

数学・理科と英語・国語の違い

私は 2008 年度と 2009 年度の東大を受験した。 2007 年まで周りの環境で私の味方をしてくれる人はいなかった。要するに田舎の底辺だった。高校も家庭も底辺だった。もうこの日記に書いたから繰り返さない。 2008 年度は開校 1 年目の河合塾本郷校東大プレミアムコースに通った。

私が高校にいた時に信用できた教科は、数学と物理と化学だけだった。この 3 つの教科は、良質な参考書・問題集があったし、自分で考えれば正解に至れる。満点の答案だって作ることもできる。

一方で英語と国語は、何が正解なのかわからなかった。私の頭が悪かったからというのもあるけれども、後述する通り、実は予備校の出す模範解答や過去問集で東大の入試の国語と英語で満点が取れる模範解答を書いている本は非常に少ない。わかりやすく言えば河合塾しかない。しかしそんなことさえも、当時の私は知らなかった。

数学が猛烈に難しいと…

実は 2008 年度は数学が猛烈に難しい年であった。そして 2009 年度はそれをさらに上回る現行前期最難と言えるほどの難易度だった。この辺は例えば鉄緑会の東大数学問題集の分析を見て欲しい。

さて、上記のような状態で、数学(や理科)が難しすぎると何が起こるのか。以下に端的な例を書く。

0.1 点足りなくて不合格になる受験生

私の予備校には、 0.1 点足りなくて不合格になってしまった人がいた。模擬試験判定からすれば、合格間違いなしなのに数学難しすぎて不合格になったと。 3 月は自殺するとかなんとか言っていたらしい。ちなみに翌年はもっと数学が難しかったけど彼はきちんと受かった。

ここどうせ東大数理の先生も見ているからいうけど、この 10 年くらい試してみてお分かりかと思いますが、学部入試はたった 150 分の試験なので、数学極端に難しすぎると 数学の試験しなかったのとほぼ同じ になってしまうのよね。

メッセージと裏腹に…

あのときゆとり教育とかなんとかあったから、東大として、数学でどういうメッセージ発信しようとしていたかというのは、わかるんです。 東大入試は手加減しませんから、数学きちんと勉強しなさいと言いたかった のだろう。

けど、それやられた受験生である我々は ものすごく英語と国語の勉強した のよ。それが「結果」です。

別にそれは悪くなかった。私は河合塾本郷校で英語国語優れた講師からたっぷり勉強できてよかったです。今から振り返ると、現役合格よりずっといい人生です。

ただ、そういう試験をすることが、あなたたちのやりたいことなのか? とは思う。

まぁこの世界一度うかってしまえばいくらでも精神論込みでテキトーなこと言えてしまうから「入試にこだわるな」「ペーパー試験重視するな」「アカデミアを含めた社会では人間力が勝負」という主張もわからんでもないんだけど、その 0.1 点足りなくて落ちた生徒のこと考えると、私は容易には言えませんね。その生徒を落とす代わりに、数学捨てて英語と国語と理科に全振りした生徒を最低 1 人は合格させているのはほぼ間違いないのですから。

一般論ですが、 受かるためにベストを尽くして勉強するのの何が悪い っていうんだ。今まで一度も人生の試験に失敗したことない、もう受けないから関係ないと言って、いい立場にある人が適当なこと言うなと言いたい。(ちょっと性格悪い表現ですみません)

地域格差について

今の入試は、試験一発ですから、原理的には公平なんだけど、地域格差はあるかなと。数学や物理や化学はともかく、 英語や国語は「満点取れている答案」がどれなのか、田舎だとそもそもわからない 。私はわかっていなかった。

いまのところ理科三類も含めて十分合格点が低いからなんとかなっている気もする。しかし、例えば数学がめちゃくちゃ難しい年はどうしても英語国語勝負になるので、事故が起きやすい。そのときに普段から満点取れている模範解答に触れながら勉強している人は有利でしょう。

数学がめちゃくちゃ難しい年より、まだ、数学がめちゃくちゃ易しい年の方がマシだと思う。取りこぼしなく正解できるかどうかを見ているという意味では、きちんと数学の試験をやっているからだ。

いまインターネットが発達しているから地域格差はなくなりつつある気もするが、普段から日記でちらちら触れている通りトーダイの英語の模範解答で満点取れているのは河合塾だけです。たとえば 2016-4B-(3) は実は河合塾以外全滅、河合塾以外満点答案を見たことがない。

底辺から東大理系を目指す高校生へ

私は不合格になってから合格になったので、その立場で、私のような底辺の環境から東大理系を目指す高校生へアドバイスを書く。

数学と理科は勉強の仕方はもう何もアドバイスありません。 勉強していれば勝手に合格水準になる でしょう。底辺から東大行きたい人なんて、他の何よりも勉強が好きなのでしょう。そのまま、体力の続く限り必死に勉強しなされ。

今の時代、参考書や講習会やスタディサプリで東大合格水準にならないなら、仮に東大入れたとしても大変です。東大理系入った後も空気を吸って吐くように勉強しなきゃいけないかわいそうな毎日(私にとっては楽しい毎日だった)が待っています。だから「勉強していれば勝手に合格水準になる」でないといけない、そこは最低限必要な水準だと思います。

一方で、英語と国語は勉強の仕方が非常に難しいです。言いたいことは、 河合塾の解答速報だけ信用しなさいと。東大オープンの解説からできるだけ学びなさいと。 そう言いたい。これだけが唯一、信頼できる情報です。そもそも高沢先生をはじめ博士課程やら大学教員やら経験した人が 20 人以上集まって分析して解答解説作問しているわけで。そりゃ出題者と同じレベルなんだから。東大の英語はマジで本気ですよあの予備校は。

無事に現役合格になればもちろんそれでいい。一方で、数学が極端に難しかったりして万が一不合格になっても、 英語と国語が学べる機会がついに来た のだと思いなされ。すぐには優位性がわからないかもしれないけど、英語と国語力が低い人が現役合格するより、英語と国語力が猛烈に高い状態で浪人して合格したほうがずっと学問的な価値は高くなる。これは 10 年間大学に通った私の正直な感想です。

数学と理科が問題なく、親がカネ出してくれるなら、河合塾本郷校プレミアムコースに行きなされ。すると最高レベルの英語と国語の講義が受けられます。先生方が満点取れる模範解答を示してくださいます。数学も理科もいい先生が教えてくださいます。合格して東大の 1 年生やるよりずっと厳しい訓練です。私はそこの 1 期生ですが、河合塾選べて本当に幸運だったと思っています。

最後に

東大の学部入試の数学で、難しい問題出すのは、別に否定はしないです。しかし 東大入試全体でどういう難易度で出すべきかよく考えるべきだ と思う。そこのバランスがおかしくなると、ある教科は試験をしなかったことと同じになってしまう。難しい問題を出すなら全教科難しい問題を出す必要があると思う。そこを採点の場だけで公平性を確保するのはかなり難しい、白紙の答案には 0 点しかつけられないのだから。

ど田舎の底辺高校に通っていても、数学は、問題集片手に勉強すれば自力で正解に至れるという意味では、英語や国語より公平な教科であるとはいえます。そういう重要な教科をどのように control していくのか、これから handle する先生方にはよく考えてもらいたいと思います。

数理科学研究科の先生方、研究や duty の合間にこれを読んでいただきありがとうございました。先生方がいい問題を出題し続ければ、日本は、トップクラスの学生を東大に入学させられ、高度な教育を受けさせ続けることができるでしょう。それが先生方に課せられた、そして、先生方にしかできない、重要な責務だと思います。長文失礼しました。