高校のある先生についての回想

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昨日の記事のちょっと補足。私が基礎的な数学を理解していない数学「指導者」(中学、高校、大学問わず)の人に日記の中で時々辛辣な言葉を並べる。これは私の性格の悪さを意味しているといえばそうかもしれないが、それ以上に、意識的に言葉を選んで、厳しい言葉を並べることにしている。

その理由は 18 歳までの私の数学の健全な育成をそういう人たちが粉々になるまで潰していたからだ。私は数学に限らず、色々な教科をずっと自習してきていて、教諭はただ邪魔な存在だった。私の高校がどれほど底辺だったのかは昔書いた

それでも、ある先生だけは、まともだった。今日はその人の話を書く。「高校は最低だったというけど、学区制がなくて、県内最高の高校を謳うのであれば、良い先生は 1 人くらいはいたんじゃないの」という意見である。確かに、 1 人だけいたのである。

その先生がどういう末路を辿ったのか、書き留めておきたいと思う。良い先生が 1 人はいたのに、それでも私が高校を退学するべきだったと断言する理由を書いておきたい。

どういう先生だったか

私が高校 2 年生の時に担任になった。担当科目は数学であった。

この先生は、私が授業中に別の勉強をすることを奨励していた。時々授業で当てられることはあったが、きちんと解いて見せると先生は納得していた。私は入試問題を解いたり数学オリンピックの問題を解いたりして勉強していた。

この先生は現実をよくご存知でいらっしゃった。「高校の授業を大切にしていれば東大に入れる」は、この学校では完全に嘘だと知っていた。この話は以前書いた通りである。

「東大は自分の力で勝ち取るしかありません」

とおっしゃっていた。今から考えても、あなたが生涯をかけて勉強をするなら高校は全く頼りになりません、の絶妙な言い方だと思う。高校としてのメンツではなく、生徒の人生を伸ばしたいという明確な意志があった。

私は当時から今とほとんど変わらず、「変な人」だった(この前も役員面接で「あなたみたいな変な人」とある会社の社長からはっきり言われた)。しかし、全く咎めず、どんどん勉強しろと言ってくれた。この部分もこの先生は気になさらなかった。その理由を察すると、おそらくこの先生が地方の大学の数学科出身だったことが挙げられると思う。

現在の数学科は、教授の後継者になるのが最終目標の学科で、能力が高い人はむしろ進学しなくなってきている(情報系によく行く気がする)が、昔の数学科は違った。この先生と同世代の人が今教授をやっているのだが、その人たちが若い頃は、院試が厳しいものの、助手にすぐなれたような良きころの時代である。おかしな人もいっぱいいたけれども、そういう人が後々活躍することをこの先生は知っていたようだった。「数学やる奴はおかしい奴だから、少々おかしい人も許容されるべき」という考えがあったのだろうと思う。

当然、この先生から一度も怒られたことはなかったし、嫌味も一度も言われなかった。

私も伸びた時期だった

私はこの頃物理に非常に興味があった。物理 I・II も勉強し終わり、東大模試も楽勝という感じだった。残念ながら数学はそれ以上伸びなかった(大学入試レベルで打ち止め)が、その分楽しく勉強できていた。

この先生が、結構守ってくれていたことを後から知った。

何が起こったか

その日は突然来た。

教室で朝を過ごしていると、担任の先生ではなく、学年主任がやってきた。

「担任の XX 先生は、しばらく、休職されることになりました。」

以下、話が続いた。どうやら、先生はうつ病になったとのことであった。ここまでは真実であるが、次の文は真実でないかもしれない:噂によると、自殺しようとしたらしく、周りの人が止めたと。

今の私はこの先生の状況が痛いくらいわかる。私を自由にさせてくれるくらい真面目で優しい先生だったから、その分内部に溜まってったのだろう。突然ぽっきりと折れたのだろう。あまりにも突然のことで、前兆もなく。

私自身 2017 - 2018 年度は精神疾患に苦しんだので、気持ちがわかる。まず、周りの人から酷い言葉をたくさんかけられる。私も、一番信頼関係が醸成されていなければならないはずの現在の指導教員から、不適切な言葉を少なくとも 2 回かけられている。人は仮面を被っているのだなと思う。自分が一番弱いときにこそ、本来の信頼関係がわかるといえる。

そうして、副担任の教諭がその日から担任になった。この人は、名門大学院の博士課程まで行ったのに、高校の化学すらろくに理解できていない例の人だった。

ずっと休職しないと危ない状況だったらしく、卒業までこの先生と会うことはもうできなかった。

教諭の置かれていた環境

私は医師ではないので、所見を述べることはできない。もちろん何が原因であったかもわからない。先生のプライベートについては語らなかったが、確か配偶者様がいらっしゃって、円満だったと記憶している。

自然に考えれば、職場である学校の環境に原因がないとは言えないだろう。

私は学校の中枢での出来事はわからない。繰り返すが、その先生の休職の原因が何であったか、わからない。ただし、私の通っていた学校は、教諭にとっても、決して高潔な場所でもなく、むしろ劣悪な場所だったと言える。

一つだけエピソードを挙げておきたい。

私が高校 1 年生のときのことである。ある日、登校すると、全校集会が開かれた。ある教諭が、逮捕されたとのことだった。

どういうことかというと、その前の晩、教諭同士で飲み会をしていたそうだ。逮捕されたその教諭は、飲酒運転をしたのだという。そして交通事故を起こした。当時飲酒運転は厳罰化していた。当然これは、地方のニュースになった。

何を隠そう、この教諭は、生徒指導担当の教諭だったのだ。嗤うしかない、昨日まで「髪の色を染めるな」とか「スカート丈を短くするな」と偉そうに言っていた教諭が、日本の刑法を破り、逮捕されたのである。「変な人」であるこの私でも、逮捕はされたことはない(少なくとも今のところは。今後もされないように気をつけますが)。

なんということだろうと当時も思ったのだけど、今となっては必然なのではと思ってしまう。

まともな教諭にとっても最悪の環境

今から考えると、あの高校で、私を護ってくれるように思うのは、相当崇高な教育目標を掲げていることに等しい。高校のプライドではなく、日本のため、人類のために、こいつになんとかして高度な教育を受けさせないといけない、まともな環境に送り出さないといけないという、そういう意識が感じられる。

しかし、今書いたような環境で、そのような真面目な教諭が、ポッキリいかないことは難しいと思う。生徒だけでなく、志がある良い先生ですら潰してしまうのである。もちろんこれは推測ではあるが。しかし、私の通った高校は一般追念上ありえないことが日常的に起きている場所であった。

悪い伝統に裏打ちされた膿を出しきるのは容易ではない。私が高校を卒業して 10 年は経ったが、仮にこれが賭け事であるならば、教諭にとっても生徒にとっても、今も私がいた頃と全く変わらない環境であろうという方に賭ける。