1・2 年の TA をやりたくない理由

更新日時:

数理科学研究科に在学して 5 年目である。私は毎学期 TA をやってきた。今までやってきた TA は、計算数学 I・II (計算機実習) と 解析学特別演習 II (偏微分方程式) である。しかし、普通、 TA と言ったら、多くは、教養学部 1・2 年の演習である。これを今までやってこなかったのには理由がある。

端的に答えを述べると、 TA をやる学生の中にはレベルの低い人がいるから、ということになる。

「お小遣い稼ぎ」や「先生の下請け」くらいの意味に捉えている人がいる。もちろんそういう側面があるのも事実であるし、一概に責められる姿勢でもなかろう。しかし私は、どうしても学生のことを思ってしまう。

ここまで感じるのには、私の高校時代の経験、河合塾の経験もあるのだと思う。優秀な人間が熱意をもって教えてくださることがいかに貴重であるのか、また、熱意もない不優秀な人間が教壇に立つことがいかに学生に害を与えるのか、この身で実感してきた。いや、実感しすぎた。東大関係者の中には、前者に指導された経験しかないような人がたくさんいるようだ。しかし、私は後者に 18 年間、害を受け続けてきた。私の高校の同級生の中には、東大と遜色ない素質がありながら、害悪な指導のせいで開花できなかった人が十人単位でいる。

だから私は、不勉強でやる気もない人間が、カネや名誉を目当てに指導をしていることにどうしても嫌悪感を抱いてしまう。もちろん数理科学研究科の学生の中でそういうことをする人間は、数としては少ない。しかし、時々そういう人に鉢合わせてしまうのも事実である。例えば 2 変数関数を極座標で極限を正確に取れない人が微分積分学の演習の TA をやっていたり、 2 次元の回転行列も書けないような人が線型代数学の演習の TA をやっていたりする。こういう人に指導される学生は実にかわいそうでいたたまれない。

私が学部生の頃は、講義と演習で優れた指導者が熱意をもって教えてくれたことで多くを学ぶことができた。感銘も受けた。それに感謝しているからこそ、やる気のない人と鉢合わせをする可能性がある場所からは離れたい。幸いにして、理学部数学科専門科目の TA は大変なので、まともな人が集まる傾向にある。

コメントする